こんにちは。さーしです。今回は『伊藤潤二傑作集』のシンプルに怖い話をランキング形式で紹介します。
ホラーといえば伊藤潤二!伊藤潤二といえばホラー!というわけで今回は『伊藤潤二傑作集』の中から、ブログ主の独断と偏見で決めたこれぞ怖い話ベスト5というエピソードを紹介してきたいと思います。伊藤潤二に興味あるけどどこから手を出していいものか迷ってる!という方は参考にしてみてください。※以下、ネタバレ含みます
第1位 【首吊り気球】
伊藤潤二傑作集8巻収録。自分の顔をした巨大な気球が襲いかかってくるという異元すぎる発想の話。日本中に人間の顔をした気球(風船と言ったほうがイメージしやすいかもしれない)が無数に飛び交い、垂れさがったヒモ部分で人々の首を吊ろうとしてくる。こう書くとなんだかシュールな感じがするが、無表情のくそでかフェイスが人間を吊ろうとしてくるのめちゃくちゃ怖い。『進撃の巨人』で無垢の巨人が静かに人をボリボリ食べる、あの怖さに似ているかもしれません。
さらに絶望的なのはこいつらを殺す方法がないという点。厳密に言えば殺せるんだけど、気球は同じ顔をした人間の魂とリンクしているらしく、ダメージがそのまま跳ね返ってくる仕組みになっている。例えばAくんの顔をした気球を殺せばAくんも死ぬというわけです。こいつ無敵か……。大きさ的に家には入ってこれないので籠城を決めこむんだけど、食料はないしかといって外に出ればやられるし…あれ?これ詰んでない?っていう閉塞感というかシチュエーション込みで怖すぎるエピソード。
第2位 【長い夢】
伊藤潤二傑作集9巻収録。お化けや幽霊の類は出てこないが、もし自分の身に同じことが起こったらと考えると寒気が止まらない精神破壊系エピソード。ある入院患者が「長い夢を見て困っている」というのだが、この夢の長さが尋常ではない。一晩で見る夢の長さが最初の頃は二、三日の感覚だったと。それが一か月、一年とのびていき、十年にも感じるようになったと言う。それだけ聞くと、現実社会から一刻も早くログアウトしたい社畜ブログ主は「おいそこ案内しろ」と言いたくなりますが、内容は悪夢を見る確率のほうが多い模様。なんかトイレを八年間探し続ける夢を見たりするらしい。そ…それはキツイな…。いい夢だったら最高だけどねぇ。
『世にも奇妙な物語』でも実は昏睡してる患者の夢でした、みたいなオチの作品がたまにありますね。そういう個人の意識内で起きてることって誰にも助けを求められないし、死にたくても死ねないっていうのがすごく怖いと思いますです。はい。ちなみに『長い夢』は呪術廻戦の作者である芥見下々先生も激推しのエピソードです。
第3位 【ファッションモデル】
伊藤潤二傑作集6巻収録。ハンターハンターでも小ネタになった異形の女性ファッションモデル「淵(ふち)」が怖すぎるエピソード。何気なく喫茶店のファッション誌を読んだのが主人公の運の尽き!その瞬間、主人公と「淵」は運命の赤い糸で結ばれてしまいます。彼自身の鮮血で染められた赤い糸で…。
バキバキの目力、こけた頬、不気味な微笑。悪い意味で異彩を放つ「淵」が脳裏に焼き付いてしまう主人公。そして実際に会ったらめちゃくちゃ背でかいしサメみたいな歯してるし…こんな化物が街のそのへん歩いているだけでなく、モデルっていうちゃんとした職業に就いている時点でホラーだよ。
伊藤潤二先生の作品は斬新な設定とミステリー性のある物語が多いですが、こと『ファッションモデル』に関してはストーリーがどうこうというよりもシンプルに「淵」というキャラクターが強烈すぎるという印象です。伊藤先生もお気に入りなのか、その後他のエピソードでも登場したりします。
第4位 【首のない彫刻】
伊藤潤二傑作集7巻収録。時代の最先端を行く偉大なる芸術家、岡部先生が「首のない人型彫刻」というアヴァンギャルドな作品を生み出した!曰く「顔をなくすことによって無限の可能性が生ずる」とのことらしい。そこまでは個人の自由で済まされますが、その彫刻が人を襲うとなると話はだいぶ変わってきます。
生みの親である岡部先生、男子学生、女学生と罪のない者を次々に毒牙にかける彫刻。彫刻が首部分を血だらけにしながらナタを持って迫ってくるシーンは、とんでもなく怖い。おまけに、顔がないくせに笑い声を発しながら襲いかかってきます。お前声帯どうなっとんねん。
精力的に芸術活動していた岡部先生は生前に何体も彫刻を作っていたため、そいつら全員がひしめき合って人間の首を求めます。全ての首が埋まるまで、彼らは殺戮を繰り返すのでしょうか…。
第5位 【肉色の怪】
伊藤潤二傑作集8巻収録。幽霊とか化物は出てこないものの、常人では絶対に理解できない価値観を持った人間が織りなす狂気のヒューマンホラー。まず冒頭に出てくる幼稚園児のビジュアルがやばすぎて度肝を抜かれます。髪の毛や眉毛といった体毛がまったくないうえに全身の皮膚がビリビリに破けており、自分と同じ姿にしてやると言わんばかりに幼稚園中のありとあらゆるものを剥がしまくります。この世のすべてを憎んでいるような目つきでクラスの子に「お前の面の皮も剥がしてやろうか?」と恫喝する姿はとても幼児には思えません。
そんなやんちゃ坊主ではすまされないアンタッチャブルなお子さんですが、実は母親のほうが全然狂ってます。彼女の夫が作り出した皮膚と筋肉を完全に分離させる秘伝の薬によって自らの意志で皮膚を脱皮し、むき出しの人体模型のような自分の肉体に心底惚れ込んでしかもそれを息子にも施そうとしていたわけです。ギリシア神話に出てくるナルキッソスも裸足で逃げ出す美的感覚ですな。
ま…まぁ…価値観は人それぞれですからね。でもそれを息子に強要するのはいかんでしょ。これが本当の毒親か…。
【伊藤潤二傑作集】のおすすめ怖い話ベスト5 終わりに
以上が『伊藤潤二傑作集』に収録されているおすすめの怖い話の紹介でした。伊藤先生のホラー作品は多岐にわたるためここですべてを紹介することができませんが、ブログ主が読んだ中でも「シンプルに怖い!」と思ったエピソードを選んだつもりです。いやいやお前ぜんぜんわかってないよ!伊藤先生の真髄はこの話だ!という方がいたら、ぜひコメント等で教えてもらえると嬉しいです。
それでは本日はこのへんで。お読みいただきありがとうございました!
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