【営繕かるかや怪異譚】のあらすじや見どころ紹介！

【営繕かるかや怪異譚】のあらすじ・概要

物語の舞台は、古びた建物や屋敷が立ち並ぶ町。この町には、不思議な現象や怪異が起こる場所が点在しており、その背後には恐ろしい過去や秘密が隠されている。主人公は「かるかや」と呼ばれる営繕職人で、建物の修繕や改築を手掛ける仕事をしているが、彼の仕事は単なる建物の修繕に留まらない。主人公は建物に潜む怪異を鎮めるための特別な技術を持っており、依頼者の相談内容に応じて怪異を解決していく――というのが大まかなストーリー。

【営繕かるかや怪異譚】の見どころ

怪異×人間ドラマが作り出すエモさ

『営繕かるかや怪異譚』の魅力は、怪異現象と人間ドラマが巧みに融合している点にあります。

たいていのホラー漫画ってパターンありますよね。まず、①霊の被害あります→誰か助けて！→霊能力を持った人がカッコよく祓う、みたいな。これが霊能力を持たない一般人目線になると、②霊の被害あります→うわぁなんだこれ！死ぬぅ！→命からがら逃げきる→それ以来ここには近づかないようにしている…あれは一体なんだったのか…、のパターン。かなりざっくりしていますがこういうの多いですよね。

本作『営繕かるかや怪異譚』では古い家に幽霊が棲みついていて、住人がびっくり仰天！どうしたらいいの！という状況に塩顔イケメン主人公が颯爽登場するわけですが、この主人公も一切霊的パワーを持っていません。住人も読者も「ないんかーい！」となります。

霊能力を使わない、『営繕屋』

しかし彼は霊能力とは違う特別な技術『営繕』によって事を丸く収めます。わかりやすく言えば大工仕事ですね。古い家に棲みついた霊を『住人』と捉え、行動パターンから何を求めているのか把握し、霊にも人間にも住みやすくリフォームします。例えば霊が水を求めているなら壁に窓を作ってそこに手水鉢（水を溜める器）を設ける、とか。しかも住人に経済的負担がかからないようにコスト面でも安上がりな方法を提示するという万全のアフターケアもご用意。デキる男は違いますな。

なので、結局霊は家に居ついたままです。しかし出てくる霊は皆悲しい最期を迎えたものばかりでどこか同情でき、危害を及ぼす存在でないことがわかると住人はそれに納得して受け入れます。上に挙げた①・②どちらのパターンにも当てはまらない、霊を除外するのではなく共存するという選択肢を取るのです。

怖いだけのホラー漫画ではない

怪異（霊）の背後には、必ずと言っていいほど人間の深い感情や過去の出来事が存在します。ただのホラーではなく、人間の心の闇や希望、悲しみといった感情が繊細に描かれているため、恐怖だけでなく感動や温かさも感じることができるのです。

圧倒的なビジュアル表現

『営繕かるかや怪異譚』は、その圧倒的なビジュアル表現が特徴です。表紙から見て取れるように非常にきれいな作画！暗がりから浮かび上がる怪異の姿、古びた建物の細部に至るまで影や光の使い方が絶妙で、緻密に描かれたイラストは、まるでその場にいるかのような臨場感を与えてくれます。

幽霊の怖さだけでなく登場人物の心理描写まで丁寧に作りこまれており、至る所に美しさがあふれていることが他のホラー漫画にはない本作の特徴でもあるでしょう。

全1巻とは思えない濃密な内容

全1巻で一話完結形式なので読みやすいですが、383ページ（電子書籍）あることと内容が濃密なため満足度は非常に高いです。また、加藤先生の美麗な作画もその一因になっているでしょう。

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